通常の(1パラメータの)パーシステンス加群が「バーコード」を持つことはよく知られている。ここでバーコードとは,「区間」の多重集合であり,元のパーシステンス加群の情報をよく保持している。一方,パラメータの数が2以上になると,一般にはバーコードを定義できないことが知られている。本講演では,Floer型のホモロジー(Morse, Novikov, Morse-Bott, Floer等)から自然に定まる2パラメータのパーシステンス加群は区間分解可能であり,付随するバーコードが長方形のみからなることを紹介する。また,従来の1パラメータの場合のバーコードからはスペクトル不変量やboundary depthといった不変量が得られていたが,それらの他にも2パラメータ独自の不変量が現れることを説明する。これらは小枝幹汰,矢代海音両氏(新潟大学)との共同研究に基づく。